2011年10月5日、膵臓腫瘍の転移による呼吸停止により死去したスティーブ・ジョブズ。
デジタル世代のカリスマともいわれたスティーブ・ジョブズは生前、独創性の高さゆえ周りから“変人”に見られることがしばしばあった。
そんなジョブズの変人ぶりを、空前のヒット作となった『テルマエ・ロマエ』の著者ヤマザキマリが、3月25日に発売された「Kiss」(講談社)で新連載として綴る。

新連載「スティーブ・ジョブズ」は、早すぎる死の直後に発売され、100万部を超えるベストセラーとなった上下巻の評伝『スティーブ・ジョブズⅠ』『スティーブ・ジョブズⅡ』(ウォルター・アイザックソン:著、井口耕二:訳/講談社)が原作。『テルマエ・ロマエ』では、古代ローマの公衆浴場技師を主人公にするなど、その設定のユニークさが際立っていたヤマザキ。ジョブズといえば、カリスマ特有の“逸話の宝庫”でもあるので、一体ヤマザキがどのような話を描くのか、気になるところだ。そこで今回は、原作である『スティーブ・ジョブズⅠ』『スティーブ・ジョブズⅡ』から、ぜひヤマザキに描いてほしい“ジョブズの仰天エピソード”を紹介してみたい。

まず、彼が最初に就職したゲーム会社・アタリ社でのエピソード。「楽しく金を儲けよう」と書かれた広告にひかれ、その日のうちに会社を訪問したジョブズ。しかし、彼はヒッピー思想やインドの東洋哲学に傾倒していたため、“風呂に入らなくても臭くない”と信じており、ファッションもヒッピーそのもの。会社訪問時ももちろんサンダル履きで「ぐしゃぐしゃの髪とよれよれの服」。驚く人事部長に対して、「雇ってくれるまで帰らない」と堂々言い放つのである。就活中の学生にとっては「んな馬鹿な!」と思える話だが、アタリ社はジョブズを採用。さらに、「導師を探しに行ってきます」という理由で退社を上司に申し出ると同時に、“インドまでの旅費を援助してほしい”とまで言ってのけるのだが、このときも上司はドイツで製品対応するという条件を出し、欧州までの旅費を負担。こうしてジョブズはインドへ自分探しの旅に出かけていったのだ。ちなみに、ドイツの担当者からは「くさいし、失礼極まりない」というクレームの電話がかかってきたという。

もちろん、ジョブズ独特の思想は、製品開発やデザインにも色濃く反映されているのはご存じの通り。だからこそ、アップルは唯一無二のブランドとして成長できたわけだが、たとえば、世界初の個人向けPCとなったアップルⅡの開発でも、ジョブズは「冷却用のファンがいらない電源とすること」を肝と考えた。理由はファンの音が集中力を乱すため、「“禅っぽく”なかったから」。こうした独自すぎるジョブズの考えには、ときに部下や仲間たちもついて行けないことが。しかも、強烈なダメ出しや他人の感情を無視しているかのような言動も多かったこともあり、ジョブズにつぶされてしまわないよう、1981年からは年に1回「ジョブズによく立ち向かったで賞」を授与することに。この制度をジョブズも気に入っていたそうだ。

このように社内でも“調整する”という言葉を知らないジョブズは、自分が関わっているプロジェクトに執心。そのほかの製品を馬鹿にすることさえあった。そのため、「マッキントッシュチームは週90時間も働いている」とジョブズが自慢すれば、他の製品グループも負けじと「週70時間で製品を出荷中」「週60時間でリサ(製品名)とマックを支える」というシャツを作成し、これに応戦。楽しんで対抗していたようだ。

また、アップルを追放された時期には、こんなエピソードも。あるとき、大学生にマッキントッシュのキーボードにサインが欲しいと頼まれたジョブズは、自分が会社を追われた後にキーボードに追加されたキーを取り外してもいいなら、という条件を出して承諾。車の鍵を使ってカーソルキーとファンクションキーを取り外し、「見るも無惨な姿になったキーボードにサイン」したという。「僕は、あるべき姿のキーボードを世の中に広め、世界を変えていきたいと思ってるんだ」――このジョブズの言葉には、彼の譲れない美学が詰まっている。

しかも、こうした美意識は製品意外にも傾けられる。病気と闘っていた2009年、大量の鎮静剤が投与され、「まともに口がきけない状態」だったにもかかわらず、呼吸器科の医師がはめようとしたマスクに対して「こんな変なデザインのものは身につけない」と主張。「デザインの違うマスクを5種類持ってこい、そうしたら気に入ったデザインのものを選ぶから」と医師に要望を突きつけたのだ。

≪ 2013年4月1日 ダ・ヴィンチ電子ナビより引用 ≫

数々のエピソードが収録される「スティーブ・ジョブズⅠ」「スティーブ・ジョブズⅡ」。
気になるこの原作を、どのように表現し、“世界を変えた男”を描いて行くのか、とても楽しみだ。

■私はアップルの経営を上手くやるために仕事をしているわけではない。最高のコンピュータを作るために仕事をしているのだ。

■当時は分からなかったが、アップル社に解雇されたことは、私の人生で起こった最良の出来事だったと後に分かった。成功者であることの重さが、再び創始者になることの身軽さに置き換わったのだ。何事につけても不確かさは増したが、私は解放され、人生の中で最も創造的な時期を迎えた。

■アップル社再建の妙薬は、費用を削減することではない。現在の苦境から抜け出す斬新な方法を編み出すことだ。

■知ってると思いますが、私たちは自分たちの食べる食べ物のほとんどを作ってはいません。私たちは他人の作った服を着て、他人のつくった言葉をしゃべり、他人が創造した数学を使っています。何が言いたいかというと、私たちは常に何かを受け取っているということです。そしてその人間の経験と知識の泉に何かをお返しができるようなものを作るのは、すばらしい気分です。

■方向を間違えたり、やりすぎたりしないようにするには、まず『本当は重要でもなんでもない』1000のことに『ノー』と言う必要がある。

■墓場で1番の金持ちになることは私には重要ではない。夜眠るとき、我々は素晴らしいことをしたと言えること、それが重要だ。

■消費者に、何が欲しいかを聞いてそれを与えるだけではいけない。完成するころには、彼らは新しいものを欲しがるだろう。

■私が知ってるなかで、一年で2.5億ドルも失った人なんて自分しかいない。でもそれは非常に人格形成に役立ったよ。

■私がここに戻ってから、当社を呑み込もうとする連中がいなくなった。どんな味がするのかと恐れているのだと思う。

■マイクロソフト社がマックをコピーすることに長けていたわけではない。マックが10年もの間コピーしやすい製品だっただけだ。それはアップル社の問題だ。独自性は消えてしまった。

■画面にはとても見た目のよいボタンを配した。思わずなめたくなるだろう。

■音楽業界の転換点として歴史に残るだろう。これは間違いなく歴史的なものになる。大げさに言っているのではない!(iTunes Storeをスタートさせた時の言葉)

■盗んだものを驚くほど効率的に配布できるシステムがある。インターネットと呼ばれているシステムだ。インターネットが閉鎖される可能性はない

■私がアップル社の経営者なら、マッキントッシュをできるだけ利用する。そして次の実りある事業に取りかかる。パソコンを巡る戦争は終わった。済んでしまったことなのだ。米マイクロソフト社がずいぶん前に勝利を収めたのだ。

■アップル社には、きわめて大きな資産があるが、ある程度手をかけてやらなければ、会社はたぶん、たぶん・・・適切な言葉を探しているんだ・・・たぶん、死んでしまうだろう。

■30代や40代のアーティストが斬新なものを生み出して社会に貢献できることはめったにない。

■あなたがテレビのスイッチをオンにするのはあなたが自分の脳のスイッチをオフにしたいからだと思います。それに対してコンピュータで仕事をするのは、脳のスイッチをオンにしたいときではないでしょうか。

■美しい女性を口説こうと思った時、ライバルの男がバラの花を10本贈ったら、君は15本贈るかい??そう思った時点で君の負けだ。ライバルが何をしようと関係ない。その女性が本当に何を望んでいるのかを、見極めることが重要なんだ。

ジョブズの残した数々の名言は、彼の人生そのものであり、偉大さを物語る証言でもある。

KISS (キス) 2013年 05月号 [雑誌]

スティーブ・ジョブズ I

スティーブ・ジョブズ II

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